VIPPRE ξ゚⊿゚)ξツンと星空と海風のようです その2
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ξ゚⊿゚)ξツンと星空と海風のようです その2

ξ゚⊿゚)ξツンと星空と海風のようです

86 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:36:26.06 ID:3Ia+C9II0
―5月1日(月曜日)―

GWの谷間の月曜日。どことなく生徒も教師もだるそうな顔をしながら時間だけが過ぎていく。
そんなだらけた空気に加え春の陽気も手伝って、ウトウトする輩も多い。

そんな中、四時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、購買に行ってくるから、先にご飯食べてていいよ。ドクオ、行こ」

('A`)「あいよ。ブーン、ちょっと行ってくるわ」

そういうとツンは、いつも購買にお世話になっているドクオとともに教室を出て行った。

(*゚ー゚)「あれ? 今日ツンちゃんお弁当じゃないんだ」

ブーンの席にお弁当を持ったしぃが首をかしげながらやってきた。

( ^ω^)「今日は、珍しく寝坊したから、作る暇が無かったらしいお」

(*゚ー゚)「えっ? ツンちゃんって自分でお弁当作ってるの? 」

( ^ω^)「あー、しぃちゃんにはまだ言ってなかったのかお? 」

ブーンはしぃのリアクションを見て納得する。



ξ゚⊿゚)ξツンと星空と海風のようです


88 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:37:18.50 ID:3Ia+C9II0
(*゚ー゚)「なに? 」

(;^ω^)「うーん、ツンに聞かないで僕の独断で話していいものかお? 」

少しだけ考えた結果、話すことにした。

( ^ω^)「ツンは事実上、一人暮らしなんだお」

(*゚ー゚)「え?! 高校生なのに? 」

( ^ω^)「一応、お父さんと二人で暮らしてる事になってるんだけど、
      ツンのお父さんは単身赴任して殆ど家にいないんだお」

(*゚ー゚)「お父さんと二人って事は、お母さんは? 」

( ^ω^)「ああ、去年離婚しちゃったんだお」

(;゚ー゚)「そうなんだ。ごめんね変なこと聞いて」

その後、戻ってきたツンとドクオも合流し四人で食事をしたが、
結局ツンの家庭事情に触れられることはなかった。


90 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:45:53.39 ID:3Ia+C9II0
―5月6日(日曜日)―

GW最終日。ツンは一本の電話に声を荒げていた。

ξ#゚⊿゚)ξ「だから、分かってるって言ってるでしょ!! 」

『でもな、パパはツンを心配してだな…』

ξ#゚⊿゚)ξ「心配するくらいならなんで、ママと別れたのよ! 」

『……それに関してはすまないと思っているよ』

どうやら、相手は父親らしい。

ξ#゚⊿゚)ξ「ねぇ、パパ。パパ達が離婚したとき、私が言ったこと覚えてる? 」

『……』

ξ#゚⊿゚)ξ「私はママに付いて行っても良かったのよ? 
       隣の天石市からだったら、転校しないで通えたんだから」

『……』

ξ#゚⊿゚)ξ「美府市から離れたくないからパパに付いて来たのに、今更そんなの卑怯じゃない! 」

『……それでも、年頃の娘が一人暮らしというのも』


92 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:47:28.17 ID:3Ia+C9II0
父親としてはどうしても一緒に暮らしたいらしい。
年頃の娘を持つ父親なら当然の心配であると言える。
むしろ、男手一つで育てているだけに、その心配も大きいのだろう。

ξ#゚⊿゚)ξ「なら、パパが帰ってくればいいだけの事じゃない! 」

『それは……』

ξ#゚⊿゚)ξ「わかってるわよ。二言目には仕事、仕事って。だから離婚したんでしょ! 」

『……わかった。この話は、また今度にしよう』

ξ ゚⊿゚)ξ「……いつ話しても変わらないわよ。私は美府市から離れたくないわ」

『じゃあ、パパは明日早いからもう切るよ』

ξ ゚⊿゚)ξ「ええ、おやすみ。パパ」

『おやすみ。ツン』

ピッという電子音の後に不通である事を示す、プー、プーという電子音が耳に届く。

ツンは通話終了ボタンを押すと、携帯を机の上におきベッドに身を投げ出す。

93 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:48:41.01 ID:3Ia+C9II0
ξ ゚⊿゚)ξ「……勉強しなきゃなー」

そんな事を呟くが、体は一向に動く気配が無かった。
静かな部屋の中、目覚し時計が時を刻むコチコチという音だけがやけに大きく聞こえた。

ξ ゚⊿゚)ξ「……はぁ」

ツンはため息をついたが、そんなものは気休めにもならない。

ξ ゚⊿゚)ξ「だめだわ、気分が乗らない。気分転換でもしてこよう」

ツンはそういいながら部屋着を脱ぎ、
ジーパンとTシャツというラフな格好に着替えると時刻を確認する。

お気に入りの目覚まし時計は、PM7:00をちょっと回った時刻を示していた。

ξ ゚⊿゚)ξ「財布と携帯だけでいいわよね」

ポケットに財布と携帯を入れて、家のカギを持つとツンは部屋を後にした。


95 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:49:56.14 ID:3Ia+C9II0
ξ >⊿<)ξ「うっ、ちょっと寒いかも」

玄関の扉にカギをかけた後、ツンは少しだけ後悔した。
昼間は暖かいとはいえ、5月上旬の夜風はTシャツ一枚では少し肌寒い。

ξ ゚⊿゚)ξ「まぁ、ちょっとコンビニに行くだけだし」

パーカーを一枚羽織って来ようか一瞬迷ったツンだったが、
そう自分に言い聞かせてコンビニに向かう事にした。

ξ ゚⊿゚)ξ「……慣れると、夜風が気持ちいいかも」

ツンは、星の輝く夜空を眺めながら、普段から通いなれている道を歩く。
時折吹く風が、トレードマークのツインテールを撫でていく。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

夜風に身を任せ、空を眺めながらゆっくりと歩くツンを、
後ろから一台のバイクが追いついたと思うと隣に並んで停車した。

ξ;゚⊿゚)ξ(えっ、なに? )

ライダーはバイクを降りずにツンの方を向き、フルフェイスのヘルメットを脱いだ。


97 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:51:48.83 ID:3Ia+C9II0
('A`)「お前こんな時間に何してんの? 」

ヘルメットの中から出たきた顔は10年以上の顔見知りだった。

ξ;゚⊿゚)ξ「ドクオ?! アンタがなんでバイクなんか乗ってんのよ」

('A`)「あれ? 去年の4月に16になってすぐクー姉に借金して教習所通って、
    6月に免許取ったって言わなかったっけ? 」

ドクオはジーパンのポケットから財布を取り出すと免許を見せる。

ξ;゚⊿゚)ξ「聞いてないわよ。そのバイクは? 」

('A`)「これ? 従兄弟がもう乗らないからって譲ってもらった。で、今受け取りに行った帰りだ。
    いやー、さすがに2時間も乗ってると、途中、休憩しながらでもキツイやな」

そういうと、首をコキッと鳴らす。

('A`)「で、お前は何してるわけ? 」

ξ;゚⊿゚)ξ「え? ……散歩、かな? 」

('A`;)「……こんな時間にか? 」

ξ ゚⊿゚)ξ「べ、別にいいじゃない。勉強してたから気分転換に散歩がてらコンビニ行こうと思っただけよ」

本当は勉強なんてしていない。
しようと思ってはいたが手につかなかった。
最近、勉強が手につかない。


99 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:56:00.51 ID:3Ia+C9II0
そんな思考が頭をよぎるが、ツンはそんな事は言わない。

('A`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……なによ」

無言のドクオにツンが食って掛かる。

('A`)「……なぁ、ツン」

不意にドクオが口を開く。

ξ ゚⊿゚)ξ「……なに? 」

('A`)「……今暇か? 」

ξ ゚⊿゚)ξ「え? 」

('A`)「暇か? って聞いてんだよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん」

普段より少し強い口調で言うドクオにツンは面食らった。

('A`)「……よし」

何かを納得したドクオは、バイクに引っ掛けてあった予備のヘルメットをツンに放り投げる。

ξ;゚⊿゚)ξ「……なによ? これ」


101 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:57:11.22 ID:3Ia+C9II0
('A`)「見ての通り、ヘルメットだ。……乗れよ」

ツンの返事も待たずに自分のヘルメットを被り、エンジンをかける。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……いいから、早く乗れよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん」

結局、ドクオの強い口調に押し切られるようにツンはドクオの後ろに跨った。

('A`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオ? どうかした? 」

ドクオは無言のまま少しだけ思案した後、自分の着ているパーカーを脱ぎツンに渡す。

ξ ゚⊿゚)ξ「……? なによ、これ」

('A`)「その格好じゃ寒いから着とけ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ありがと」

('A`)「すこし飛ばすから、しっかり掴まってろよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「うん」

ツンは珍しく素直に返事をするとドクオの腰に手を回した。
ツンが腰に手を回したのを確認し、ドクオはアクセルを開けバイクを発進させた。

102 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:57:40.96 ID:3Ia+C9II0
('A`)「見ての通り、ヘルメットだ。……乗れよ」

ツンの返事も待たずに自分のヘルメットを被り、エンジンをかける。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……いいから、早く乗れよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん」

結局、ドクオの強い口調に押し切られるようにツンはドクオの後ろに跨った。

('A`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオ? どうかした? 」

ドクオは無言のまま少しだけ思案した後、自分の着ているパーカーを脱ぎツンに渡す。

ξ ゚⊿゚)ξ「……? なによ、これ」

('A`)「その格好じゃ寒いから着とけ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ありがと」

('A`)「すこし飛ばすから、しっかり掴まってろよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「うん」

ツンは珍しく素直に返事をするとドクオの腰に手を回した。
ツンが腰に手を回したのを確認してから、ドクオはアクセルを開けバイクを発進させた。


104 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 05:59:54.85 ID:3Ia+C9II0
('A`)「……着いたぞ」

ξ;゚⊿゚)ξ「……うん」

バイクで走ること20分。二人は美府岬の到着した。

ξ ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ドクオ。ここがどうかしたの? 」

('A`)「ん? まぁ、いいから来いよ」

ドクオはそういうと岬の突端へと向かい、ツンも黙って付いていく。
ツンがドクオの向かう先に視線を向けると、
どうやら簡単な展望台と小さな灯台があるらしい事だけは分かった。

展望台に向かう十数段の階段を登りきると急に視界が開けた。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

ツンは息を呑み固まった。

漆黒の海を月明かりが照らし、
空には幾つものガラスの破片を散りばめた様に輝く無数の星。

時折、白くうねる波が漆黒の海を切り裂く亀裂のように
生じては消え、消えては生じて、心を落ち着けるような独特の音を奏でていた。

その音は、まるでこの星の鼓動の音のように聞こえた。


106 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:01:50.44 ID:3Ia+C9II0
('A`)「……そんなとこ突っ立てないで、こっち来いよ」

すこし先、展望台の中に更にひとつ高く、十数段の階段を登った台の上からドクオが声を掛ける。

ξ;゚⊿゚)ξ「……す、スゴイ」

その景色にツンは言葉を失う。

そこから見た海は、水平線が丸く見えた。
視界を何にも遮られることなく広がる、海と空と波と星だけがそこにはあった。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

ツンは眼前に広がる景色をただ黙って見ていた。

手すりに掴まり、黙って景色を見ていたツンの頬に不意に冷たいものが触れる。

ξ;>⊿<)ξ「っ! 」

慌てて振り返るとドクオが缶コーヒーと缶紅茶を持って立っていた。

('A`)「ほれ、お前の分だ」

ツンが抗議するまもなく、ドクオは缶紅茶をツンに突き出す。

ツンはその缶を両手で受け取ると黙ってプルトップに指を掛ける。


108 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:03:20.95 ID:3Ia+C9II0
ξ;゚⊿゚)ξ「……あれ? 」

カチン、カチンと音を鳴らしながら開けようとするが何故か開かない。

('A`)「……おまえ、変なところだけ女の子するなよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うるさいわね。わざとじゃないわよ……あれ? 」

('A`)「……貸せよ」

ドクオはツンの返事を待たずひったくるように缶を奪うと、プルトップに指を掛ける。
ドクオが力をこめると、いとも簡単にプシュと音がして、プルトップは唯一の役目を終えた。

('A`)「……ほら」

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、ありがとう」

ツンはドクオから受け取った缶紅茶を一口飲む。
ロイヤルミルクティーの優しい甘みが口の中に広がる。

ドクオは黙って缶コーヒーを開けると一口のみツンの横に並ぶ。

二人の間にわずかな沈黙が流れ、ただ波の音と、時折吹く海風だけがその場を支配していた。





110 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:04:23.91 ID:3Ia+C9II0
ξ ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ドクオ」

それまで黙っていたツンが視線を海に向けたまま口を開く。

('A`)「……ん? 」

ドクオもツンのほうを見ないで返事をする。

ξ ゚⊿゚)ξ「なんで、ここに連れて来たの? 」

('A`)「……お前が気分転換したいって言ったから」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……ここな、俺の高校受験の時、クー姉が気分転換によく連れて来てくれたんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……そう。最近会ってないけどクー姉は元気? 」

('A`)「今年で専門学校2年だからな。元気に就職活動してるよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「そう」

('A`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

それっきり二人はまた無言になる。


113 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:08:27.40 ID:3Ia+C9II0
次に沈黙を破ったのはドクオだった。

('A`)「……ックシ! 」

ξ ゚⊿゚)ξ「大丈夫? これ、返そうか? 」

ツンはドクオのパーカーの裾を引っ張る。

('A`)「いや、いい。そしたらお前が寒いだろ? 」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも」

('A`)「女の子が体を冷やすのはよくないって言うだろ? 」

ξ ゚ー゚)ξ「あら、アンタいつから私を女の子扱いしてくれるようになったの? 」

ツンは微笑みながら答える。

('A`)「あ? お前も一応女の子なのは昔から知ってるが? 」

ξ ゚⊿゚)ξ「一応が余計ね」

('A`)「見てくれだけ女の子で、中身が伴って無いんだから、一応で十分だ」

ξ#゚⊿゚)ξ「ふーん。そういう事をいうのね? 」

114 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:09:34.57 ID:3Ia+C9II0
そういうと、ツンはドクオの腕に自分の腕を絡ませる。

('A`;)「ちょ、ツン! お前何を! 」

ξ ゚ー゚)ξ「別に。私が寒かったから腕組んだだけよ」

まるで子供のように無邪気な笑顔でツンは答える。

('A`;)「冗談は止めろよ」

ドクオはツンの腕を振り払うとコーヒーを飲み干し、既に飲み終わったツンの空き缶を奪い取ると
そのまま、近くのゴミ箱に缶を捨てる。

('A`;)「そ、そろそろ帰ろうぜ」

照れてツンのほうを見ることが出来ないドクオは、ツンに背を向けたままぶっきらぼうに言葉を発する。

ξ ゚ー゚)ξ「……えい! 」

そんな事、お見通しなツンはニヤニヤしながらドクオの背中に抱きつく。

('A`;)「くぁwせdrftgyふじこlp;@:! 」

ξ ゚ー゚)ξ「なに、慌ててんのよ。私なんか女の子じゃないんでしょ? 」

ツンはドクオの予想通りの反応に楽しくなったのか、さらにギュっと力を込める。

('A`;)「ちょ、ツンいい加減に……」

そこまで言いかけて、あることに気付いたドクオは言葉に詰まる。


117 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:11:04.75 ID:3Ia+C9II0



ツンの手が少し震えてる。

('A`)「……ツン? 」

ξ ⊿ )ξ「……ゴメン、ドクオ。……少しだけ、もう少しだけでいいから、こうさせて」

先ほどまでとは違う、弱々しい声で懇願する。

('A`)「……」

ドクオは何も答えず、返事の代わりに腰に回されたツンの腕に優しく手を重ねる。

ξ ⊿ )ξ「……ありがとう」

('A`)「……」

ξ ⊿ )ξ「……」

二人の耳には波が打ち寄せる音と二人の鼓動の音が聞こえた。




そして、ツンの手にはドクオが重ねた手の、優しい温もりが残った。


119 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:13:36.66 ID:3Ia+C9II0
('A`)「……着いたぜ」

ツンの家の前に停車するとドクオはツンに声を掛ける。

ξ ゚⊿゚)ξ「……うん」

ツンはパーカーとヘルメットを脱ぎドクオに渡す。

ξ ゚⊿゚)ξ「……ドクオ。今日はありがとう」

('A`)「べつに。バイクの試運転のついでだ。気にすんな」

ツンから受け取ったパーカーを羽織りヘルメットを引っ掛けながらドクオはぶっきらぼうに答える。

ξ ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ドクオ。また気分転換したくなったら、あそこに連れてってくれる? 」

('A`)「……俺とお前が、独り身の内はいいぜ」

ξ ゚⊿゚)ξ「そう。なら、私に彼氏が出来ない限り大丈夫ね」

('A`)「……言ってろ、ばーか。……じゃあな」

そういうと、ドクオはヘルメットのバイザーを下ろしそのまま走り去った。

ξ ゚⊿゚)ξ「……ドクオ。ありがとう」

ドクオが走り去った後、ツンはもう一度だけ呟き、家に入った。


121 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:16:19.76 ID:3Ia+C9II0
―5月12日(土曜日)―

( ^ω^)「ふーさっぱりしたお。やっぱりお風呂は日本の宝だお」

バスタオルで頭を拭きながらブーンは自室に戻り、机に設置されたPCの前に腰掛ける。

( ^ω^)「あとは、風呂上りの冷たいコーラだおー♪」

鼻歌を歌いながら机の下の小型冷蔵庫からコーラを取り出し、のどを潤す。

( ^ω^)「ぷはー。この一杯のために生きてるようなもんだお」

コーラに満足したブーンはいつものように、PCを起動するとオンラインRPGにログインする。

( ^ω^)「今日はちょっと遅くなっちゃったお」

時計を見ると時刻はPM10:30を少し回ったところだった。
ブーンはログインするとすぐにリストを開きログイン状況を確認する。

( ^ω^)「お? しぃちゃんもログインしてるお」

122 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:18:39.25 ID:3Ia+C9II0
Boon『しぃちゃんおまたせだお』

Shi『あ、ブーン! 今日は遅かったね』

Boon『ごめんお。ちょっとお風呂で居眠りしちゃったお』

Shi『お風呂で寝るとおぼれちゃうよー? 』

Boon『さっき溺れかけて慌てて出てきたお』

Shi『もー。ブーンは仕方ないなぁ』

Boon『今日は何するお? 』

Shi『そろそろ、新しい武器が欲しいからお金貯めたいんだよねー』

Boon『じゃあ、レベル上げも兼ねて動物系のモンスターを狩りに行くお』

Shi『そうだね。最近、毛皮系が高く売れるしね』

Boon『じゃあ、街の南門で待ってるお』

Shi『おっけー、装備整えたらすぐ行くね』



……


123 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:20:25.76 ID:3Ia+C9II0
狩りに出て約二時間後。二人は戦利品を整理するべく街に戻ってきた。

日付は変わり時刻はもうすぐAM1:00になろうかという頃。

Shi『ねぇ、ブーン。明日っていうかもう今日だけど、暇? 』

Boon『暇だお』

Shi『あのね、お母さんの知り合いから映画のチケットもらったんだけど、行く? 』

Boon『いいお! 早速、ドクオとツンにも連絡するお!! 』

Shi『まって』

Boon『お? 』

Shi『ゴメン。チケット2枚しかないの。だから、二人で行かない? 』

ブーンはその瞬間、口につけていたコーラを吹きそうになった。

(;^ω^)「ちょ、二人って、それなんてギャルゲーだお? 」

Shi『やっぱり二人じゃ、イヤかな? 』

ブーンが返事に困っていると、しぃからそんな言葉が届く。

(;^ω^)「いやいやいや、そんなもったいないことするわけねーお!!! 」

急いでブーンは返事をした。


125 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:22:46.92 ID:3Ia+C9II0
Boon『そんなことないぽ』

(;^ω^)「あ、打ち間違っちゃったお」

Shi『じゃ、明日の11:00に美府駅で待ち合わせね♪ お休み、落ちまーす。ノシ』

その言葉を最後に【Shi】はログアウトした。

ブーンはしばらく画面を見ながら呆然としていた。

(;^ω^)「……僕があのしぃちゃんと、デート? 」

無言のままブーンは固まる。もちろん画面の中の【Boon】も硬直したままだ。

(;^ω^)「と、とりあえずログアウトするお」

すぐにログアウトの処理をしてPCの電源を落とす。

(;^ω^)「えっと、どうするお? 」

気を落ち着かせようと深呼吸をするが、どうしても動悸は治まらず心臓が早鐘のように打ち鳴らされる。

(;^ω^)「えっと、こういう時は素数を数えたらいいんだお」

飲みかけのコーラを飲み干すとブーンは素数を数え始めた。

(;^ω^)「えーっと、1・3・5・7・9・11・13・15・17・19・21……」

それでも動揺したブーンは素数ではなく、奇数を数えていた。

126 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:25:08.24 ID:3Ia+C9II0
―5月13日(日曜日)―

―時刻・AM6:53―

(;-ω-)「……や……っと、ね、眠くなってきたお」

あの後、奇数を501まで数えたブーンは落ち着く事をあきらめベッドに入った。

それでも結局、眠れないままこんな時間になってしまった。

どうして眠れないかといえば……



(;゚ω゚)(なんで、しぃちゃんは僕を誘ったんだお? )

(;゚ω゚)(これは俗に言う『フラグ』ってことかお? )

(;゚ω゚)(いやいや、落ち着くお。ここで先走ったら、ただの勘違い野郎もいいとこだお)

(;゚ω゚)(でも、しぃちゃんから誘ってくれたお)

(;゚ω゚)(そう考えたら、この間の観覧車の中での出来事がフラグを立てたのかもしれんお)

(;゚ω゚)(いやいや、そんなまさか)

(;゚ω゚)(でも、もし、しぃちゃんが……)

(;゚ω゚)(落ち着くお。しぃちゃんが僕をどう思っているかは関係ないお)

128 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:27:39.46 ID:3Ia+C9II0
(;゚ω゚)(僕はしぃちゃんをどう思ってるんだお? )

(;゚ω゚)(ていうか、何で僕はこんなにドキドキしてるんだお? )

(;゚ω゚)(もしかして僕は……)



一晩中そんな事を考えて眠れなかった。

そして、一つの結論に達したときようやく眠気が出てきた。

(*-ω-)「……zzz……しぃちゃん……」

空が白み始めるどころか、完全に夜が明けたころ。ブーンはようやく眠りについた。



(*-ω-)「……zzz……僕は……」








(*-ω-)「……zzz……僕は……君を好きになってしまったようだお……」


131 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:29:44.48 ID:3Ia+C9II0
―5月13日(日曜日)―

―時刻・AM10:52―

(*゚ー゚)「……」

美府駅前の大きな街路樹。駅前では一番目立つ代物なのでよく待ち合わせに利用される。
その樹の下でしぃは腕時計を見て、時間を確認する。

(*゚ー゚)「……よく考えたら、ブーンが時間どおりに来るわけ無いんだっけ」

先日の事を思い出ししぃはため息をつく。

(*゚ー゚)「……はぁ、ドックンみたいに待ち合わせの時間を、30分早く言っておけばよかったかな? 」

そんな事を呟きながら、腕時計を見るともう一度ため息をつく。
時間はさっき確認してから1分も進んでいなかった。

⊂ニニ(;`ω´)二⊃「ブーーーーーン!!!!!!! 」

(*゚ー゚)「えっ? 」

しぃが時計から視線を上げると、ものすごい勢いでブーンが走ってきた。

(;^ω^)「ご、ごめんお! 待ったかお? 」

ブーンはしぃの前で急停止すると肩で息をしながら、しぃに声をかける。

(;゚ー゚)「えっ? 別に待ってないよ。まだ、時間前だし」

132 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:31:20.47 ID:3Ia+C9II0
ブーンはポケットから携帯を取り出し、時刻を確認すると、安堵の息を漏らす。

(;^ω^)「よかったおー。遅刻するかと思ったお」

(;゚ー゚)「それより、何で間に合ってるの? 」

しぃは率直にたずねる。

Σ(;^ω^)「そりゃ、いくらなんでもひどいお! 」

(;゚ー゚)「ご、ごめん。でも、ドックンとツンちゃんがこの間、言ってたんだもん」

(;^ω^)「まぁ、否定できないのが情けないお」

ブーンは頬をコリコリと掻く。

(*^ω^)「でも、しぃちゃんと二人で遊びに行くのが楽しみだったから、頑張って朝起きたお」

(;////)「ま、また、そんなこと言って……。からかっちゃ、ヤダよぉ」

そういって、しぃは俯いてしまう。

(*^ω^)(やっぱり、しぃちゃんはかわいいお)

(;////)「ね、ねぇ。そろそろ行こうよ」

( ^ω^)「お? そうだったお。せっかく、遅刻しなかったのに電車に乗り遅れたら意味ないお」

こうしてブーンとしぃは駅の中に入っていった。


134 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:33:32.42 ID:3Ia+C9II0
―時刻・PM2:44―

(*゚ー゚)「面白かったねー」

(;^ω^)(正直、しぃちゃんが気になってそれどころじゃなかったお)

映画を見終えた二人は映画館から出てきた。

(*゚ー゚)「……? ブーンはおもしろくなかった? 」

しぃは反応の無いブーンの顔を心配そうに覗き込む。
下から上目遣いで覗き込む姿は、どことなく子猫を思わせる。

(;^ω^)「そ、そんなことないお。面白かったお」

(*゚ー゚)「ホント? よかったぁ。なんか無理やり付き合せちゃったかなって、心配してたんだ」

ブーンの言葉を聞いてしぃは、ぱぁっと花が開いたように明るい笑顔を浮かべる。

(*^ω^)(そんな笑顔を見せられたら、何を見た後だって幸せになれちゃうお)

しぃの笑顔につられるようにブーンも笑顔になる。

(*゚ー゚)「ん? ブーンどうしたの? 急にニコニコして」

(;^ω^)「な、なんでもないお。それよりお腹空かないかお? 」

なんとなく心情を見透かされた気になったブーンは慌てて話をそらした。


136 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:35:35.55 ID:3Ia+C9II0
(*゚ー゚)「お昼、食べて無いもんね。私もお腹空いたよー」

( ^ω^)「じゃあ、そこのマックお昼にするお」

(*゚ー゚)「そうだね。ブーン行こ! 」

そういってしぃは横断歩道に駆け出す。

(;^ω^)「おっ! 」

しぃが駆け出した矢先にブーンは咄嗟に、しぃの手を掴む。

(;^ω^)「し、しぃちゃん。まだ信号変わって無いお」

(;゚ー゚)「あっ、ゴメン! ちょっと浮かれちゃったみたい」

しぃはブーンに頭を下げるとあることに気がつく。

(;゚ー゚)「……あっ」

( ^ω^)「お? どうかしたかお? 」

(;////)「……ぁ、その……」


139 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:39:36.54 ID:3Ia+C9II0
しぃが真っ赤になって俯くと、チラチラと自分の右手を見ている。
その視線に気付いたブーンはしぃの右手へと視線を向ける。

(*^ω^)「……」

そのしぃの右手はしっかりとブーンの左手が握っていた。

(*^ω^)「……しぃちゃんにひとつ聞きたいお」

(;////)「ははは、はい!! な、なに? 」

(*^ω^)「こ、このまま繋いでちゃ、ダメかお? 」

(;////)「だだだだ、ダメなんかじゃないよ! 」

(*^ω^)「ほ、ほんとかお? 」

(;////)「……(コクリ)」

しぃは黙って頷く。

(;^ω^)(これは脈アリなのかお? )

しぃの手の温もりを感じながらそんな事を考えていると,、
しぃが消え入りそうな声でブーンに話しかける。


141 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:42:10.45 ID:3Ia+C9II0
(;////)「ああああ、あのね、ブーン。私からひとつお願いしても、いいかな? 」

(;^ω^)「いいお。(なんだお? この状況でお願いって何が来るんだお)」

(;////)「あのね、手を繋ぐなら、そんな、ただ掴むだけじゃなくて、
      ……その、ちゃんと繋ぎたいな」

最後のほうはほとんど聞き取れないような小さな声だったが、
しっかりとブーンには聞こえた。

(*^ω^)「わかったお」

そういうとブーンは掴んでいた手を一度離し、
改めて手を繋ぐと、グッと少しだけ強く握った。

(*^ω^)「これでいいかお? 」

(;////)「……」

しぃは何も言わず、その代わりに、繋いだ手をキュっと握り返した。

(*^ω^)(おっおっお、しぃちゃんのこの可愛さは、はっきり言って反則だお)



143 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:44:22.74 ID:3Ia+C9II0
―時刻・PM6:54―

( ^ω^)「もう、すっかり暗くなっちゃたお」

二人が美府駅に降りると既に空は夕焼けの時刻を過ぎ、夜の帳が降りはじめていた。

(*゚ー゚)「ホントだ。まだまだ、日が暮れるのは早いねー」

( ^ω^)「家まで送るお」

(*゚ー゚)「いいよー。ブーン、帰るの遅くなっちゃうよ? 」

( ^ω^)「そんなの構わないお」

(*゚ー゚)「……じゃあ、お願いします」

二人はどちらとも無く手を繋ぐと歩き始めた。

( ^ω^)「……」

(*゚ー゚)「……」

二人は住宅街を黙って歩く。

(;^ω^)(もう、腹をくくったお! 今日、このまま告白するお!! )

今日一日、しぃとデートしてブーンは決意を固めていた。
昨日の夜に、しぃを好きになったかもしれないという結論に達したブーンは、
それが確信に変わっていた。


146 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:48:01.25 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「しぃちゃん」

(*゚ー゚)「なに? 」

( ^ω^)「僕、しぃちゃんが好きだお」

(*゚ー゚)「……え」

( ^ω^)「だから、僕の彼女になって欲しいお」

(*゚ー゚)「……」

日はすっかり暮れ、すでに星が煌めき始めた空の下、

ブーンの声だけが静かに、しぃの耳に反響する。












(*////)「…………(コクリ)」


149 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:50:23.42 ID:3Ia+C9II0
しぃは何も言わず、ただ頷く。
そして、少し間を置いてから顔を上げブーンを正面から見据えて、言葉を紡いだ。

(*゚ー゚)「……私も、ブーンが好き。だから私を、ブーンの彼女にしてください」

しぃは、しっかりとした声で一言一言を噛みしめるように言い切った。

(*゚ー゚)「……ブーン」

しぃは愛しい人の名を呼ぶと、そっと目を閉じる。

( ^ω^)「……しぃ」

ブーンもそれに応えるように、愛しい人の名を呼ぶと、しぃの肩に手を置き、顔を近づける。


二人の距離が少しづつ近づく。




その距離が0になった時。





何の変哲も無い住宅街の一角の、どこにでもある様な小さな公園の入り口は……

150 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:51:02.25 ID:3Ia+C9II0









二人の大切な、思い出の場所になった。











152 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:52:52.26 ID:3Ia+C9II0
―5月14日(月曜日)―

―時刻・AM6:00―

携帯のアラームが鳴る。

( つω-)「お? ……もう、起きる時間だお」

目を擦りながら、体を起こすと、ベッドの脇の窓にかかってるカーテンを開く。
朝の日差しが寝起きのブーンの目に飛び込んできた。

( うω<)「……眩しいお」

それで目が覚めたブーンはのそのそとベッドから降りると大きく伸びをした。

( ´ω`)「うーん、まだ夢でも見ている気分だお」

そういって携帯を手にとり画面を見ると、顔面がいきなり土砂崩れを起した。

(*^ω^)「でも、やっぱり夢じゃないお! 」


154 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:54:19.52 ID:3Ia+C9II0
ブーンの手にした携帯の画面には、しぃのはにかんだ笑顔が待ち受けに設定されていた。

昨日の別れ際に頼んで撮らせてもらった、しぃの笑顔。
それは、昨日の出来事がちゃんと現実だったことを示す証拠だった。

『……私も、ブーンが好き。だから私を、ブーンの彼女にしてください』

あの時のしぃの言葉が頭の中でリフレインする。

(*^ω^)「……」

そして、その後、触れたしぃの唇の感触がプレイバックする。

(*^ω^)「こうしちゃおれんお!! 早く学校行くお!!! 」

こうして、ブーンは普段からは考えられないほどのスピードで身支度を整えると
すぐさまリビングに降り朝食を済ませ、洗面所に駆け込む。

(*^ω^)「やっぱり、男子たるもの常に清潔でなくてはイカンお! 」

そして普段の5倍の時間を掛け念入りに歯磨きと洗顔をした。



―時刻・AM7:30―

(*^ω^)「行ってきますおーーー! 」

全ての準備を終えたブーンは普段より30分早く家を飛び出した。


156 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:56:49.79 ID:3Ia+C9II0
―5月14日(月曜日)―

―時刻・AM7:50―

ξ゚ー゚)ξ「~♪ 」

暖かい春の心地よい日差しを浴びながら、ツンは鼻歌交じりに通いなれた道を行く。

目の前の大通りと交差する十字路を左に曲がれば、いつものコンビニはすぐ近く。
ツンは一度だけ腕時計で時刻を確認する。

待ち合わせは8:00。いつも通り5分以上前に到着する。

ξ゚ー゚)ξ「~♪ 」

そのまま、ご機嫌な表情で十字路を左折すると、いつも通りに後ろから声を掛けられる。

('A`)「よう、相変わらず時間に正確だな」

横断歩道を渡って早足で追ってきたドクオはツンに並ぶ。

ξ゚⊿゚)ξ「あらドクオ、オハヨ。アンタも早いわね」

('A`)「まぁな。朝ブーンを待ちながら缶コーヒーを飲むのは日課だからな」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタねー、サラリーマンのおっさんじゃあるまいし」

('A`)「うるせーな。冬の寒さの中で飲む、ホットの缶コーヒーの旨さも知らずに頭ごなしに否定すんな」

そんな事を話しながらコンビニに到着すると、二人の目の前には信じられない光景があった。


158 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 06:59:40.18 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「ツン、ドクオ。遅いお」

('A`;)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

すぐにドクオはポケットの中の携帯に、ツンは腕時計に視線を落とし時刻を確認する。

【AM7:52】

('A`;)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

二人は絶句する。いつも遅れてくる、早くても時間ジャストが精一杯。
時間前に来たことなんて一度も無い。

そんなブーンが二人を待っている姿なんて、ここ10年以上見た覚えが無い。

( ^ω^)「お? 二人とも鳩が水鉄砲を喰らったような顔してるお」

('A`;)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……なんでアンタがこんな時間に? 」

二人にブーンの間違いに突っ込む余裕なんて無い。
それほど、衝撃的な出来事だった。

( ^ω^)「実は、朝一で二人に伝えたい事があったんだお! 」

159 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:01:07.80 ID:3Ia+C9II0
ブーンの言葉に、二人は体を硬直させる。

('A`;)(『あの』ブーンがそこまでして伝えたいこと……)

ξ;゚⊿゚)ξ(『あの』ブーンが早起きまでして私達に言わなきゃならないこと……)

( ^ω^)「実は……」

ξ;゚⊿゚)ξ(絶対に、いい話なわけが無い!!! )('A`;)

ブーンが口を開いた瞬間、二人は同時に耳を塞いで声を上げた。

ξ∩゚⊿゚)ξ『聞こえない! 聞こえない! 
        ブーンの余命が半年なんて話、聞こえない! 』('A`∩)

(;^ω^)「ちょ、二人とも何を訳の分からんこと、言ってるんだお? 」

ξ∩゚⊿゚)ξ『聞こえない! 聞こえない! 
        身内に不幸があったなんて話、聞こえない!! 』('A`∩)

(;^ω^)「二人とも落ち着くお! 」

ξ∩゚⊿゚)ξ『聞こえない! 聞こえない! 聞きたくない!! 』('A`∩)

二人はそのまま回れ右をすると学校に向かって早足で歩き始めた。

(;^ω^)「ちょ、いいから聞いてくれお! 」

ブーンは二人の腕を掴むと無理やり耳から引き剥がす。

160 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:04:12.07 ID:3Ia+C9II0
(;^ω^)「別に、僕の余命が半年とか、身内に不幸があったなんて話じゃないお! 」

ブーンの言葉に二人は耳を塞ぐのを止める。

('A`)「……じゃあ、なんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタが私達より先に来てまで話したい事ってなによ? 」

(;^ω^)「実は……」

そこまで口にして、ブーンは口篭もる。

(;^ω^)(いざ、言うとなると言いづらいお)

('A`)「早く言え」

(*^ω^)「……(ええぃ! 男は度胸だお! )実は、僕に彼女が出来たんだお! 」

ξ゚⊿゚)ξ「……はぁ? 」

('A`)「……今日は4月1日じゃねーぞ? 」

意を決して言い切ったブーンの言葉を二人は軽く流した。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタそんな、くっだらない冗談の為に私達より早く来たの? 」

('A`)「あー、馬鹿らしい。そんな下らないネタの為にモーニングコーヒー飲み損ねたのかよ」

二人は相手にするのも馬鹿らしいといった態度で、再び学校に向かって歩き始めた。


162 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:07:33.85 ID:3Ia+C9II0
(;^ω^)「ちょ、二人とも! 冗談でもネタでも無いお! 」

ξ゚⊿゚)ξ「ドッキリがやりたいなら、しっかり仕込みなさいよ。思いつきで言われても引っかからないわよ」

(;^ω^)「だから、違うお! 」

('A`)「あー、そうかい。今度そのゲーム貸せよな。フルコンプしてからでいいからよ」

(;^ω^)「二次元じゃねーお! ちゃんと三次元の女の子だお! 」

必死で説明するブーンの話を、二人は学校に向かいながら聞き流す。

そんなやり取りをしながら三人が登校していると、前方の交差点にしぃがいるのをツンが見つけた。

ξ゚⊿゚)ξ「あら、しぃじゃない。登校中に会うなんて珍しいわね」

いつもなら、しぃは三人より先に教室にいることが多い。
登校中に会うのはブーンが時間通りに来た時に限り、偶然会うくらいだった。

(*゚ー゚)「……うん。今日は一緒に行こうと思って待ってたから」

('A`)「待ってたのか?なら、連絡してくれたら俺らも早く来たのに」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、急に一緒に行こうなんて、どうしたの?」

(*゚ー゚)「えっと、ね。……その、ツンちゃんとドックンには、ちゃんと話しておきたいことがあって……」

しぃは、ゴニョゴニョと消え入りそうな声でツンの質問に答える。


164 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:11:23.91 ID:3Ia+C9II0
(*////)「えっと、その、あのね。……私ね。……えっと、ブーンとね」

(*^ω^)「まぁ、こういうことだお」

ブーンは顔を真っ赤にしているしぃの左に並ぶと、左手でしぃの右手を握る。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

('A`;)「……」

(*////)「……」

(*^ω^)「……しぃと付き合う事になりましたお」

二人のリアクションを待つブーン。恥ずかしさのあまり真っ赤になって俯くしぃ。

そして、あまりに急な話に言葉を失うドクオとツン。

ξ; ⊿ )ξ「……」

('A`;)「……」

(*^ω^)「二人とも、どうかしたかお? 」

(*////)「……ドックンもツンちゃんも、なんか言ってよー」

何も言えずブーンとしぃの顔を見比べるツンとドクオに、しぃはますます顔を赤くして俯く。


166 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:13:44.06 ID:3Ia+C9II0
その硬直を打ち破ったのはツンだった。

ξ゚⊿゚)ξ「そ、そっかー! ブーンおめでとう。よかったじゃない、可愛い彼女が出来て」

(*^ω^)「ありがとうだお。結婚式には呼んであげるお」

ξ゚⊿゚)ξ「それは、それまでに、しぃに捨てられなければの話でしょ」

(;^ω^)「そ、それは否定できんお」

ブーンに皮肉を言ったツンは今度はしぃに話しかける。

ξ゚⊿゚)ξ「しぃ、これから大変よー。コイツ、馬鹿で、ズボラな上に、空気読めないんだから」

(*゚ー゚)「そうだねー。ちょっと決断間違ったかもね」

(;^ω^)「女の子は言うことに容赦が無いお」

ξ゚⊿゚)ξ「何言ってるのよ、これでも遠慮してあげてるんだから、感謝しなさい」

(*゚ー゚)「そうだよー。二人でメールしてる時とか、ツンちゃんもっとスゴイんだよー? 」

Σ(;^ω^)「そうなのかお? 」


168 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:15:42.40 ID:3Ia+C9II0
ξ゚⊿゚)ξ「あら、しぃも実はすごいわよ」

(;゚ー゚)「わー、ツンちゃんそれ言っちゃだめー」

ξ゚ー゚)ξ「えー、どうしようかなー」

女性陣はそんな事を話しながら学校へ向かい、
取り残されたブーンはため息をつきながら呟く。

(;^ω^)「ふぅ、女の子って分からんもんだお」

('A`)「……」

( ^ω^)「お? ドクオ、どうかしたかお? 」

何も答えないドクオにブーンは、改めて聞き返す。

('A`)「……ん。なんでもねーよ」

(*^ω^)「さては、僕に彼女が出来て嫉妬してるんだお」

('A`)「……本気で言ってるのか? 」

ブーンの軽口にドクオの雰囲気が変わる。
どことなく怒気を含んだ雰囲気にブーンは少し戸惑う。

(;^ω^)「ど、どうしたんだお? ドクオ。冗談に決まってるお」

('A`)「……そうか。ならいい」


170 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:17:27.04 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「……ホントにドクオどうしたんだお?様子がおかしいお」

ドクオの様子がおかしい事を、ブーンは問いただす。

('A`)「なんでもねーよ。おら、せっかく早く来たのに遅刻したら最悪だ。行くぞ」

そういって、ドクオは歩き始めた。

( ^ω^)「うーん。やっぱり、おかしいお」

しばらくブーンは首をひねる。

( ^ω^)「まぁ、気のせいだお」

結局、答えの出ないまま考えることを放棄したブーンは三人の後を追って学校へ向かった。



175 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:29:44.53 ID:3Ia+C9II0
―6月14日(水曜日)―



ブーンとしぃが付き合い始めて一ヶ月が過ぎた。




本格的に梅雨入りした関東地方は、連日雨が続き、その日も朝から雨が降ていた。
夜になっても止む事のない雨は容赦なく窓に叩き付けられ、耳障りな不協和音を奏でていた。

ξ;⊿;)ξ「どうして? どうしてこんな事になっちゃたんだろう? 」

ツンは一人ベッドの上で枕に顔を埋め泣き崩れる。

ξ;⊿;)ξ「私が一番近くにいるのに……。誰よりもあいつの事を分かってるのに」

その整った顔立ちをクシャクシャに崩し、子供のように泣き続ける。

ξ;⊿;)ξ「なんで、あいつは私じゃなくて彼女を選んだんだろう? 」

問いかけても問いかけるべき相手はそこにはいない。

ξ;⊿;)ξ「ねぇ、なんで私じゃないの? なんで私を選んでくれないの? 答えてよ! 」

枕から顔を上げ、枕元に置かれた写真立てに向かって叫ぶ。
それは癇癪を起こした子供のようだった。

ξ;⊿;)ξ「お願いだから、私を愛してよ……。こんなのもう耐えられないよ……」


178 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:32:55.53 ID:3Ia+C9II0
写真立てを手に取ると、そっと胸に抱く。まるで愛しい人と抱擁をするように。

ξ;⊿;)ξ「なんで、私を愛してくれないの? ……彼女がいるから? 」

写真は何も答えない。

『実は、僕に彼女が出来たんだお! 』

代わりに愛しい人から言われたうれしそうな言葉が、ツンの耳にリフレインする。

ξ;⊿;)ξ「……ブーン」

ツンは愛しい人の名を呟くと、再び枕に顔を埋め泣き崩れた。

降り続いていた雨はいつの間にか上がり、
雨雲の間から空がのぞき始めた頃、その嗚咽は次第に小さくなった。

そして、空が白み始め数日振りに朝日が顔を出した頃、嗚咽は静かな寝息に変わっていった。

ξ-⊿-)ξ「……ブーン」








泣き腫らした目を瞑り、眠りに落ちていても、呟くのは愛しい人の名であったことは誰も知らない。


180 : ◆DyhKUHe1jM :2007/10/31(水) 07:36:13.09 ID:3Ia+C9II0
すまん、実は今仕事中なんだ。
そろそろ忙しくなってきたからここでいったん中断させてもらいます。

8:00に上がったら
すぐ近所のネカフェにいくから30分だけ待っててくれ


[ 2007/10/31 16:21 ] VIP | TB(0) | CM(0)



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